神無月
作詞 こまゆ
ガラスで隔てられた別世界
手足の冷える夏の日に
心だけが熱く燃える
あなたが好きだと詰め寄った
そしたらあなたは霧散した
隙を見つけて捕まえた
先を案じた顔をした
見えないフリして指を動かす
日々は満ち足りたものだった
愛され男児の彼は私のもの
日々は欠如に満ちていた
ガラスの向こうが怖かった
母に左手首を掴まれた
「害虫よりもいらない子」
恐怖に喘ぎ喚き飛ばした
ガラスの向こうは暑かった
更に波も高かった
冷たいものが痛かった
小さい板より楽しかった
それでも板は手離さない
神様の前でうずくまる
「どうか私を幸せにして」
願えば叶う御祈りを
結末を知らず祈るのだ
銀杏が臭う季節
生きているすらも分からない
生誕祭が来る前に早く戻ってきてください
いよいよ彼は消え去った
神の無いときに思う
「ありがとう、もう板にすがらなくて済む」
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