蛍光灯
作詞 櫻蛇
家がとび、人がとび、犬がとび、猫がとぶ
よくまぁこんな比喩思いついたなぁなんて思う僕は
ちょっとブルーな気持ちで電車の中
平熱の体をムリやり席からはがすと
自分の頭蓋骨の重さにふと驚く
周りの人から見ても僕は
君にふられた一人の人間に見えるのだろうか
少し顔を上げて見えるのは
藍色の山の。きれいな筈のグラデーションが
黒の水で形成されている僕の脳には
どぉもグレーのグラデに見える
電車の窓に映る光を間違って
白く光る光る月と間違った儚い少年はだぁれ?
ほら、見てよ
君に捨てられた僕は いま、こうして此処にいる
君を恨むことも出来ずに
ただ、こうして、心の中で謝ることしか出来ないや
蛍光灯だけが 僕の味方の
前橋終点のこの電車
次第に暗くなる 外の景色と
次第に黒く塗られていく街の建物たち
寒くて縮こまる僕と
段々と気配を消していく人々
音もなく舞い降りたのは
白く白く光る小さな小さな命
降ってきた雪はあっという間に僕の中につもり
僕の体は動かなくなる
その重さは僕に生きているという現実を告げ
既に真っ暗になった窓の外のように
深く暗い色の布を織る少女へと
僕の気持ちを運んでくれる
ほら、見てよ
君に捨てられた僕は いま、こうして此処にいる
君を恨むことも出来ずに
ただ、こうして、火が消える刹那の瞬間を待つの
蛍光灯だけが僕の味方の
前橋終点のこの電車
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