迷いの沼
作詞 堀岡玖哲
一人、二人 踊る街の住人から麗しい手引き
地団太踏んだ彼女の手を取った
廻って跳んだ
機会、愉快、未開だらけの街から眩い誘い
不可思議に呑まれて落ちていく
欲望に果てて
痛みなど知らない 慟哭も聞こえない
七色の視界が 白黒の世界に変わっていく
舞って散った薄紅の情動を 今
手放していた
残ったものは唯の理想空論
思想が埋もれていく
パッと消えた篝火に注す光は
何処にも無い
去って逝った 彼がそこに残した
瞳さえも
一つ、二つ 鳴らす踵の音から暖かい響き
手拍子打った彼女の手を取った
哂って飛んだ
肢体から次第に離れていく熱 欲深い眠り
くたばったまま 這い上がる気力もない
開いても消えない 触れても伝わらない
霞んだ背中を 追えずにフワリ浮かんでいる
「待って」言ったはずの言霊が 今
薄れていた
残ったものは形骸化した意味だけの
言葉たち
そっと触れた稀薄な背中合わせも
忌々しいから
待って 仕舞って 彼女の望みすら
淡く溶けていく
舞って散った薄紅の情動が 今
震えていた
残ったものは唯の理想空論
思想が膨らんでいく
パッと消えた篝火に注す光を
握っていた
去って逝った 彼がそこに残した
瞳さえも
「じゃあね」口端から溢れた言霊が 今
廻っている
残ったものは無意味でも素晴らしい
言葉だ
寄り添って触れた 柔らかな体温も
苦しい
絡まって解けた 彼女と彼の夢に
深い愛を
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