ヒロイン
作詞 vermilion
悲劇のヒロインぶってんな、いつだって。
「自分だけが」とか思ってんな。
どうせ自分が可哀想なだけなんだろ。
でも浸らせてくれ。それだけが生きた心地なんだ。
「人の目が怖い」「笑い声が怖い」「後ろが怖い」
まだ分かる。
「悩みが尽きない」「恐怖が溢れてくる」
今もそうだ。
「こんなに辛いのは、」「こんなに苦しいのは、」
自分だけって言いたいのか。
そりゃ分かってんだ頭では、
悩まない人なんかいないって。
でも耐えられないんだ、
「自分だけ」って称号がないと。
悲劇のヒロインぶってんな、いつだって。
「俺だけが」とか思ってんな。
どうせ自分が可哀想なだけなんだろ。
でも浸らせてくれ、それだけが命綱なんだ。
「話せる人がいない」「誰も分かち合えない」
本当か。
手のひらの画面に呟く、浮かぶがままに
今もそうだ。
「無理」「辞めたい」「やり直したい」
言えば鬱憤晴れんのか。
そりゃ分かってんだ頭では、
その言葉で誰も救われないって。
でも仕方がないんだ、
「大丈夫?」って返しがないと。
悲劇のヒロインぶってんな、いつだって。
「私だけが」とか思ってんな。
どうせ自分が可哀想なだけだろ。
でも浸らせてくれ、それだけが逃避行なんだ。
自らの安全地帯に巡らせたぬるま湯に浸かって、
他人の承認を得ようとする怠惰。
目の前に差し出された救いを、
「まだだ」「今じゃない」と拒む。
お前は楽になりたいのか、違う。
お前は強くなりたいのか、違う。
お前は悲劇のヒロインぶって、
お前自身が可哀想って思って、
「自分だけが」の言葉にしがみ付いて、
勝手に荒みたいだけなんだよ。
|