少年の歌
作詞 中里紺鉄
夕闇で走る
とっくに日も暮れて
遠くの空も銀杏も紫
小さな時の僕は
家に帰る
近所のカレーの匂いは
うちじゃないのかと
勘違いする
玄関は黄色いライトで
僕を待ってた
我が家の白い犬は
嬉しそうに
飛んだり回ったり
手を洗えと怒られて
じゃぶっとゆすいで
ごはん
今日は野球がないから
歌番組を家族で見て
親父は興味ないから
途中でチャンネル変えられる
風呂に入るのはめんどくさいけど入る
6日見飽きた週刊漫画
暑くも寒くもなくて
明日のこと考えずに寝る
電車の中スマホを見て
今日も1+1が2っていう証拠を探しに行く
あんまり知らない人と知り合い風で
引き算の不安と手押し相撲
そんな時は
目をつぶって
また夕闇の中
小さく戻って
家に帰る
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