代償の代償
作詞 霧島林檎
わたしはこの長い15年を生きてきまして
泥を飲みこみ血を吐きだして参りました
わたしの肩までの髪をからかいもせず
彼は静かに教科書を読む
お連れはふらりと消えてふたりきりの机
窓の外を見る振りして盗むまつげの影よ
彼を閉じ込めて
彼を閉じ込めて
お慕いしており、ません
この口が悪いのです
あなたなんていなくなってしまえ
うそですごめんなさい
壱年たち、あなたの体はたくましくなりました
壱年たち、わたしの隣の席にまだあなたはいます
壱年たち、髪の毛は腰に届くほどに伸びまして
少女のように頬をほてらし
掴まれた手を享受します
見事な黒髪をお持ちで
あなたは花よけの傘を傾けて 桜の雪の中
藍色の着物がよくお似合いです
わたしよりも長い睫毛にはなびらが乗るか乗るまいか
びぃどろの涼しげな青
初めての贈り物は頭が溶けるように幸せと
幾度もつぶやいたことを忘れませぬ
もう少し、夢を見させてください
あなたの影
やさしいまじないにかけられたいとしい人
いかないでくださいなあんなところに
わたしをどうか見てください
喉が苦しいです あなた
胸が痛くて仕方がないです
最近は部屋を空けることも多く
別の香りをつけてくる
あいあいあいあいあいたいです
あいあいあいあいあいしてください
あいあい、曖、哀、逢らんな
あのひとはとてもおやさしい
かわいらしい、花のような人
紅をひいて 着物をはおい 髪をおろせば
わたしはうつくしい仮面をつけられる
びぃどろを隠してしまおう
思い出にふたをして
お願いします
わたしの声を頼りに探して
ひとつの骸
おんなの骸
まじないのとけたあなたは
わたしをきっと探しているでしょう
わたしの名前をもっとよんで
あなたの夢の中でもあいたい
クマをこしらえた顔もいとおしい
なぜならわたしを想ってくれている証拠でしょう
あいあいあいあいあいにきて
あいあいあいあいあいしてください
あいあい、愛、藍、逢らんせ
わたしを捕まえてくださいな
さあさはやく
わたしを取り戻してみてください
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