#１#
静かに壊れゆく世界のため
君が犠牲になることはなかった
この世界のすべては　神のもので

はじめから
捧げられるものなど何ひとつなかったはず
神は感謝(エウカリスト)を知らない

*
最期の時の　最後の涙を憶えている　
僕の瞳に君をとじ込め　そこに永遠をつくったから
瞬きの間にここから君が　奪われないように…きっと

ああ　僕はもう　瞳を開けない　
瞼の裏の翳りのなかに　泣いている君がいて　
狂いそうな永遠が僕のなかにある


#２#
不意に訪れた穏やかな陽射しのなか　
僕は幼いころのことを思い出した
君とまどろんだ　あの木陰を

わかっている
御もとに召されたのは最後の無垢ないのち
神の渇き(デザルト)は癒された

*
最期の時の　最後の微笑みを憶えている　
今ここに　あの日君が望んだ永遠があるから
悪夢から目覚めたら君は　また優しく微笑み…そして

いや　君はもう　瞳を開けない　
柔らかな木洩れ日の下で　微笑んだ君のいない
狂いそうな永遠が僕のそとにある

**
ああ　祈るように　瞬きをくりかえし　
二つの世界の狭間で　ゆらぐ僕には
天に奪われた君を想う　永遠だけが遺った