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黒猫
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作詞 楼蓮屋 |
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風の強い冬の夜、
猫は来た。
帰り道のあたしの前に、
小さい猫。
あたしが歩くとついて来る。
あたしが止まると追い越して、
行かないの?ってふり返る。
かじかむ手で撫でてやれば、
気持ちよさげに「みゃあ」と鳴く。
可愛いやつめ。
でもそう簡単に
飼ってやることは
出来そうに無い。
そうして歩いてる内にも
あたしの少し後ろから
猫はトコトコついて来る。
あたしの後ろを車が通る。
あれ?と後ろに目をやれば、
道路に転げる黒い塊。
懸命に動く前足。
あたしは動けなかった。
もし動けても助けられなかった。
だんだん弱くなっていく、
小さく真剣な足掻き(あがき)。
生きようとする、最後の足掻き。
そして、止まった。
あたしは助けることが
出来なかった。
あたしは泣くことしか
出来なかった。
あたしは自分の無力さと、
命の重さってやつを、
少し悲しい方法で、
あんなちっちゃいやつに
教えてもらった。
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