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心の種
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作詞 夕風 |
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一人の少年の乾ききった心
僕は何なんだ?
ゆっくり目を開けて
そこにある現実に向き合おうとしても
歪んだ心でしか
この世界で生きていけない。
嘘をつくのは怖くなくなった
鼻で笑ってしまえば
どれもちっぽけなことに感じるから
周りを見渡せば知らない人だらけ
みんなそれぞれに何を思っているのかなんて
自分しか知らないんだから
何をしたっていいじゃないか。
…この感情はなんだろう
この空しさはなんだろう
何も感じないのは…
するすると抜けていくのは…
ナンダ?
一人の老人
乾ききった心に
花を咲かせる旅人
「キミは何なんだい?
ずいぶんと孤独に生きている
笑っていても
心からは笑顔になれていないじゃないか。
哀れな子供だ。
そんなにつまらなかったら
そんなにむなしい人間なら
もう誰とも関わらなければいいじゃないか?
なのに
なんで、
何で答えを求めようとする?
そうだよ
本当は
キミは必要とされたいんだよ。」
「必要?
別に必要になんかされたくない。」
「そうかな?
じゃあなぜにそんなに…
悲しい涙を流している?」
一人の少年
涙が止まる
「無理しなくていい。
キミから見える景色は、キミだから見える景色だ。
自分を否定しなくていい。幸せを見つけるのはそう難しいことじゃない。
ほら、人の気持ちを放り出さないで。感じようとしてごらん。」
「あなたは何でそんなにきれいな笑顔ができるの?」
一人の老人
乾ききった少年に
種を与える
「『できる』んじゃない。これが『自然』なんだよ。
いいかい。その種の花はこの世界で一番きれいな花なんだ。
でもね、この花を咲かすには、
とてもきれいな水が必要でね。」
くすんだ少年の瞳に光が差した
「水?」
「そうだよ。その水は自分一人じゃあ手に入らないんだ。
この種が花を咲かす頃には…
キミが花を咲かせた時には…
そうだな…
キミはとても大きな優しさに包まれてるだろうな。
人はすぐには変われない。すごく時間がかかることだよ。私もそれは分かってる。
すぐにはわからないかもしれないけど、きっと、キミは変われるよ。
心の底ではそうなることを望んでいるはずだからね。そうだろう?」
一人の少年は種を握った
顔を上げるともう旅人の姿はなかった
一人の老人
乾ききった心に
花を咲かせる旅人
「ありがとう、キミがいたからここまで育てられたよ
きっとどんな花よりもきれいだろうな
早く花びら、開かないかな」
心が乾いていた一人の少年に
一つ自然な笑顔が咲いた
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