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刃
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作詞 EmptyDoll |
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―――生まれながらにして…
頬に触れる鋼鉄の感触
失われてゆく温もりと光
最後の血に滲む空蝉の記憶には
ヤマアラシの私
(嘲る意図など無いだろう)
聖水湛えたこの清き御身
人々の心に輝きをもたらそうと
常に思っていた
その汚れなき腕 只々伸ばして
貴方の心 触れたかっただけなのに
それが事実だと思えなかった
周りの者が倒れていく
歪んでいく 何故だ 轟く声
歓声に似た悲鳴
何故 こんな事に…
―――背中が 重い
血の制裁をこの身に受け
迷い人となる愚かな私に
明かりを灯らせた貴女は
嗚呼 まるで天使のようだった
(触れ合うべきではなかっただろう)
女神を崇拝する使徒の様に
貴女を支えていきたかっただけなのに
ただ それだけなのに
この穢れなき腕 只々伸ばして
貴女の心 触れたかっただけなのに
それが現実だと思えなかった
貴女が紅に染まっている
崩れていく 視界 倫理の壁
天使を堕としたのか
この 私が…
―――この重荷の正体は…
死に勝る恐怖とはなんだろうか…?
生に勝る恐怖とはなんだろうか…?
背より響く砕ける鉄の音が
最期を告げる追悼の鐘となる
頬に触れる鉄の感触は
背より崩れた鉄の骸
それが貴女 私 その全てを
傷つけた刃だと
何故 気付けなかった…
―――心を破く 不可視の刃
それは…誰の心にも…―――
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