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No.72
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作詞 歪み |
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悲しくなるなら言わなきゃ良いのに
やっと掴んだその手をあっさり離して
寒くなったからって手繰り寄せるのはナシにしよう
勘繰って 一方的な言葉の投げ合い
かわいそうに 打ち捨てられた単語が
砂利のように転がっている
見えないのは 見ていないからだよ
欲しい言葉をくれる人
不快な言葉ばかり吐く人
痛みを伴う言葉しか使えない人
軽石のような声で使う人
心のこもった言葉しか出さない人
匿名希望の液晶画面で流れる言葉の中
「言葉は生き物だ 時代と共に変わる」
そう 得意げに打ち込んで躊躇いなく流したあなた
言葉は生き物では無いと思うよ
扱うものが生きているだけだ
作り出して 捨て去って 繰り返している
人間の音を入れたから動くもの
何もなければ 何もない
ただそこにいる 見えず 聞こえず 触れず
空気すらも 音がするのに
うまく扱えていると思うかい
他人の音に振り回されているくせに
自らの失態を正当化する言い訳にしか聞こえない
言葉が生きて時代と共に移り変わるものならば
意思などドブに捨ててしまえ
そいつを生かしているのは人間だ
悪にも善にも出来てしまう かわいそうに
かわいそうに
綺麗な言葉を返しておくれ
整った言葉を遺しておくれ
細やかな川のように 滑らかに
儚い響きを その御心を
棄てないで 嫌わないで
ごめんね
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