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未来への唄
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作詞 ゆたまる |
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歪んだ木目をなぞって
君との会話を思い出す
まだ燻っている僕等も
この葛藤をいつか忘れるのだろう
不揃いな間隔で刻まれた
柱の傷を見下ろして
水縹色の空は遠く
何処までも続く雲を乗せたまま
窓の外に映る大きな校庭は
大人になると小さく見えるのかな
また悔やんで、また忘れて
「子供」を一つずつ棄てていく
名前の知らない桜が咲いて
鈍色の鉄棒を握りしめた
耳障りだった始まりを告げる鐘が
どこか寂しく聞こえた
答えを探して紙を破り捨て
「大人」を一つずつ身に付ける
戻れない映像を瞼の裏に潜めて
潰れた上履きで街を蹴った
汚れた靴紐を縛って
草臥れた制服に袖を通す
癒えない傷が胸の奥で
少しずつ鼓動を高めていく
不安に迫られて、恋に焦がれて
約束を何度も結んだ
頬伝う涙、別れの四文字が
怖くて、また泣いた
夢をいくつも抱いて叶う気がして
落としたことにも気付かぬまま
掌に閉じ込めたままの声が
夜になって耳を擽るよ
季節を切り裂いて誰かに会いたくて
気付けば最後の春が散った
儚くも遠退く歯痒さに身悶えて
霞んだ瞳で君を眺めた
時を重ねて少しずつ老いて
あの日の悲しみ、笑い合えるかな
揺れる表情は見えないまま
いつか僕の糧になると信じて…
「子供」を棄て去って「大人」に着替えて
水縹色の空を睨みつけた
無邪気に進んだ迂回路を歩いて
涙で心を穿った
名前の知らない桜の花びらが
いつしか僕等の背中を押すだろう
繋いだ手離れても記憶はずっとここにある
新しい靴を汚して街を蹴る
別れの四文字を懐かしみ
唇噛み締めて、進み出す。
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