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クレイブ
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作詞 新田拙 |
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涼しい 夜になる前
凍える寸前の走馬灯を
疑似的に感じてじっとしている
震える手を伸ばして
中空にすがろうとする
飲みきれない水を
口の横にすっと垂らす
もう誰も通りかかるものはない
なのに誰のものでもない影が
立ち止まって見ている
もう少しだけ
あと少しだけ
星の見えない夜に
いないフリをしていたい
苦しい 夜が訪れて
木々を揺らす強い風に
飛んで行けないままじっとしている
雨の上がった夜は
アスファルトを濡らした
信号機のライトを
逆さに反射している
もうバスも誰も連れてはこない
なのに隙間を探りすべりこむ何かが
夜の錯覚を煽る
もう少しだけ
あと少しだけ
星の見えない夜に
いないフリをしていたい
考えたくはないから
雨の音を待つ
今はそれだけ
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