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勘違い
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作詞 ゅぅきてぃ。 |
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甘い香りがしてやっと目が覚める。
朝だ。お母さんがまた甘いいちごジャムとバターをトーストに塗りたくっている。
大嫌いなお客さんはいない。わたしはたった一人のお母さんのお客さん。
甘すぎて歯が溶けそうで、バターもしつこすぎるけど、お母さんの起きている笑顔が見れるからいいや。
可愛い可愛いお母さん。わたしだけのもの。そう幼心に思いながら母を一人者にしたのはわたしだったのに、わたしよりきれいで、わたしより料理がうまくて、お茶目で可愛いお母さんより幸せになりたいなんて呪ったのは誰でもない私だった。
キスはべたべたして嫌だった。
朝は眠くて仕方なかった。
コーヒーもシナモンも他の子は知らなかった。
私はいつも一人どこか見てる。
空は青いけど、王子様は来ない。お母さんも来ない。
外は雨だけど、カボチャの馬車は来ない。
うちの家の自家用車も来ない。
雪が降ったけど、氷の女王は来ない。
すぐに春は来る。
私の心はずっと冬。
春に見惚れて、夏にうきうきして、秋にぼーっとして、冬にまた帰る。
わたしは雪の子、雪ん子。
私の目に刺さった氷はすぐになくなったけど、長くなった前髪が、取れた睫毛がささって、目をこすっているだけで、全然呪われても、嫌われても、傷付いても、泣いてもいないんだから!
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