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雪割橋
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作詞 きひろ |
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あの夜に、きらきらと、
音をたてて消えた命の語り。
血の漣は あの日と同じ高さで
低い空も見えません。
ものくろ の記憶辿れど
其処に色など落とせないから、
「あと10億秒 これからを生きる」
なんて重い荷物でしょうか。
空気に書いた遺書に
宛先なんか必要無い。
隣の人の顔さえも
仮面で見えないから。
命の足取りが 軽ければ軽い程
自分と向き合った自分はフェイクだらけ。
明日は何しよう。昨日は何したの。
目の前の今日が霞んで
上手く呼吸が出来ない。
根も葉もなく成長し
空へ茎を伸ばす このプライドが
春になったら、雪と共に
綺麗な川へと流れて欲しい。
胸の扉は幾重も無くて
案外単純な、答えなんです。
呼び鈴を鳴らし、出てきたのは
涙でぐしゃぐしゃの僕でした。
眠たい時寝れば良い、と。
笑いたくない時は笑うな、と。
ツギハギの言葉並べても、
僕には伝わらない。
ボンドで貼り付けた 安っぽいアクセサリー。
無様に点滅する 安っぽい言葉達。
信じる事が出来ない。僕は僕の言葉さえも。
その時、微かな糸が 切れてく音を聞いた。
地面に辿り着く。空が離れていく。
僕は僕と話す。衣服を全て脱いで。
「明日は晴れるかな」
そんなどうでも良い事を、
思いながら空に近付く。
ぎこちなく、羽広げ。
橋から零れ落ちた 涙が雨になり、
その雨が雪になり、その雪が川になる。
せせらせらと流れて、せせらせらと輝いた、
あの夜に、きらきらと、砕けた、命の語り。
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