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前兆
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作詞 しゅんのあしおと |
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僕を包んでいた 半透明の空気が
真緑色に変わった
無造作に積まれた辞書が
音もなく 崩れ落ちる
くすんだ煩悩 黄ばんだ正義
走っても走ってもなお たどり着けない
壊された情操が そこいらじゅうに転がって
曲がりくねった地平線が 太陽を突き刺した
実体のない「絶対」が
あるはずのない根拠が
大地の裂けめに入り込んで
邪悪なマグマを呼び覚ます
誘惑に負けた概念は
上下左右に揺れ動き
歴史さえも 渦を巻いて
海にできた一本道は ふさがれた
助けてと書かれた手紙が
宙に舞い やがて散る
かすんだ友情 疑う愛情
信じても信じてもなお 真実の影
託された常道が ことごとくはね返されて
地に足のつかない理性が 本能を剥き出した
僕を包んでいた 半透明の空気が
真緑色に変わった
アメーバみたいな生き物が
「こんにちは」って言ってきそうで
どんなに手を伸ばしても
宇宙の果てには届かぬように
世界は変わってしまうのか
正体のない「正体」が
知るはずのない確証が
周りの絆を引き裂いて
狂った知恵を増幅させる
牙と刃(やいば)と欲望が
充満したこの世界に
天界さえも 見放して
実体のない「絶対」が
あるはずのない根拠が
大地の裂けめに入り込んで
邪悪なマグマを呼び覚ます
重圧に耐えた信念は
小さな風を察知して
新たな息吹 探し始める
海にできた一本道は ふさがれたまま
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