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かゆいところは、ございませんか
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作詞 しゅんのあしおと |
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「かゆいところは、ございませんか」
ふいにそう言われたので 僕は思わず
「頭の上のほうが少し・・・」
「じゃあ ひざまずいて頭の上をこちらに見せてください」
──頭皮マッサージでもしてくれるのかな
いうとおりにすると
男は僕の頭の横を両手でがっちりとつかみ
そこへ顔を近づけた
「えっ!」
僕は思わずすっとんきょうな声をあげた
男は僕の頭のてっぺんあたりを
ペロペロなめ始めたのだ
ペロペロ ペロペロ
アメちゃんみたいに
ペロペロ ペロペロ
──気持ち悪い
ペロペロ ペロペロ
ペロペロ ペロペロ
頭をなめられながら
僕は思った
──そういえば 昔
テストで100点取ったとき
お母さんに
頭をなでられたことがあったな
でもお母さんに
頭をなめられたことはなかった
「頭 おいしい〜」
男はまだ
ペロペロ ペロペロ
僕の頭をなめている
──気持ち悪い
僕の頭はもしかすると
ほんとうにアメちゃんみたいな
味がするのかな
そしたら
ほんとうのアメちゃんみたいに
だんだん小さくなって
やがて消えてしまうのかな
そう思ったら
だんだん 悲しくなってきた
ペロペロ ペロペロ
ペロペロ ペロペロ
──僕は この男のアメちゃんとして
この世に生を受けたのかもしれない
そして今まさに 僕は
この男のアメちゃんと化している
ああ なんという運命だ
僕がアメちゃんだったなんて
そのとき 男が突然顔を上げた
「ごちそうさまでした
・・・かゆみが 消えたでしょう」
僕は遠くを見るような目でこう思った
──カユミガ アメチャンダッタンダ
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