|
|
|
蕾のままの樹
|
作詞 霜原葵依 |
|
one day,
時計塔の鐘が鳴る
読んでいた文庫本を閉じた
雨空の春先
after,
熱い珈琲に舌鼓
香るエメラルド
今日は昨日よりも運がいい
街の灯りが夜を彩っても
僕はただ見ているしかできない
花も咲かないままの樹の中で
うずくまる そして今日を終える
two day,
鶏の声が告げてくる
明日がもうやってきた
曇天の春先
after,
温い紅茶を渋々と
老いたダージリン
今日は昨日よりも運が悪い
美しい娘が広場で踊っていても
僕には見ているような暇もない
煤けた机にキャンパスを広げて
花を咲かせるため汗を流す
気分を変えるために散歩してみても
色褪せた町 僕を満たすものは何もない
three day,
蕾のままだった樹は
今も蕾のまま変わらずに
晴天の春先
after,
冷たいミルクがひんやりと
僕へと溶けてゆく
今日は昨日よりも運がいい
街の灯りが夜を染め上げる頃
僕はもうその場所にはいない
今も蕾のままのあの場所で
眠ってる ずっと、ずっと……
|
|
|