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少年は、それでも立ち向かう。
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作詞 te2ya |
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ある村に、怪物がやってきた。
少年はただ震えていた。
大人達は口々に言った。
敵いやしない、命が惜しい、生贄を出せ。
少年は何もできなかった。
悲鳴が一つ、少年に聞こえた。
怪物がやってきた。
少年は立ち向かった。
大人達は口々に言った。
無駄だ、やめておけ、生贄を出せ。
少年は挫かれた。
悲鳴が一つ、少年に聞こえた。
怪物がやってきた。
少年はなお立ち向かった。
大人達は口々に言った。
まだやるのか、怒らせるな、生贄を出せ。
少年は挫かれた。
悲鳴が一つ、少年に聞こえた。
怪物がやってきた。
少年は逃げなかった。
大人達は口々に言った。
まだわからないか、愚か者め、生贄を出せ。
少年は挫かれた。
声援が一つ、少年に聞こえた。
少年は奮い立った。
身に合わぬ剣を持ち、
その綺麗な顔を鬼のように変え、
大人の声など届きはしない。
怪物が恐れた。
少年は打ち勝った。
大人達は口々に言った。
私の制止が、少年を生かした。
私の助言が、少年を育てた。
全て私の、予定通りだ。
三つのごめんと一つのありがとう。
それだけ言うと、
少年は黙って笑った。
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