|
|
|
妖精の森の誘拐劇
|
作詞 紗散 画宮 |
|
あの子がラッパを吹いた
朝の始まりに 希望を願い
森に立ち込めた霧の海
払いのけ 羽を動かす
入り組んだ木の根の隙
麦パンを2カケラ戴いて
一番高い木の上で
露のジャムをうまく浸して
「愁いはありますか?」 王女は言う
湖の中央で笑みを零し
投げたパンを受け取って
また悲しく笑った
何も求めない 選ばない 望まない
キミが僕を求めてくれたのならば
羽の使い方を教えてあげよう
キミの知らない世界へ向けて
あの子がラッパを吹いた
隣で名の通り ハーモニカ
旅立ちを告げて席を立つ
「元気でね」と手を振って
捕らわれの姫君は
集まる民衆にはにかんだ
心の隅で彼の者が
会いに来るのだろうと信じて
例えば僕がここを去るとしたら
キミはどんな顔をするだろう?
例えばキミを攫ったとしたら
僕はどんな非難を受けるだろう?
僕は別に構いやしないのさ
世界を裏切って生きて行こう
世界へ伸びる手のひらを
キミは取ってくれる?
何も求めない それだけ それ意外は
双眸は迷いに揺れて 揺られて
震えたままの儚き了承
それは細く 弱く 綺麗な笑みだった
生きて行こう 生きて行こう
総て見下ろせる羽を使って
皆が見上げた自由な空へ
キミの知らない世界に向けて
|
|
|