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怪人
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作詞 tank |
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蓋をした
小さな穴を覗いて
見せないまま 見ていたんだ ずっと
殻の中は やわらかい
花を摘んで 川へ放って
どこへ届くんだろうと
巡らせて 帰路を辿る
来た道など 覚えてないけど
整然と混沌の狭間で
額縁の中 飾られた
赤と緑の中間地点
なにかが呼んでいる
左手は 耳を澄ますように
右手は ノイズを拒むように
溜め込んだ 風の鳴り声
思い出させてよ 面影を
まだらな光と闇
言葉には 足りなかった 震え
熱を尖らして 刃と成る
頬を抱え込んだ 両手の指
突き立てた爪の奥に入り込む
表層 剥がれていく
見渡した
草木も乾く草原で
瞳だけが 枝葉の隙間を縫って
目と目合わせ 身構えた
臆病な肉食獣
鋭い牙で 大きな顎で
守りたいものは
仮面の下に隠した素顔
冷静で小心を覆った
窓枠の中 繕われた
平常心と押し付けのマナー
蜘蛛の餌食になる
虚栄で手を差し伸べたふり
本心は嘲笑っていたのに
引き止めた人の 泣き声は
もう忘れさせてよ
正しかったはずの嘘だから
卵をひとつ 丸呑みにした蛇は
悲しみでお腹いっぱい
感情の区別なく 白も黒も
紛らわし誤魔化すため
体に噛み付いてみる
白々しい
そんな誰かの表情を
容易に許すほど
なにもわかってなくて
落胆するのも
もう 馬鹿らしいよ
左目は 遠く見透かすように
右目は 心を拒むように
近いものほど 距離を置いた
このテリトリー 侵されぬよう
仮面の向こう側は
悲痛な叫びが冠水中
晒されるのも 暴かれるのも
内側の脆さは 甲羅の中
突き離した後に安堵した
乾いた心が剥がれ落ちてった
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