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雨降り
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作詞 毳 |
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伸ばした髪が湿気を含み
重く垂れて右目をチクリとさす
傘を忘れて土砂降りの雨
閉館の図書館 駐輪場
あのへんにたぶんオリオン座
携帯の電池も切れてしまって
時間も分からない寒い夜に
足元をよぎる黒い毛玉
星の見えない空の下で
雨宿りをしてたのは君も一緒かい?
一歩も動けない僕の足元
靴紐咥えて楽しいかい?
伸ばした足が疲れたから
重い腰を自転車のサドルに下ろす
傘をさして雨を走った
誰かのしずくがシミになる
あのへんがたぶん君ん家だろ?
雨漏りのする茂みはさむいだろ?
風邪をひくかなんてわからないが
人肌恋しくなったのかい?
雨のやまない空の下で
星探しをやめたのは君も一緒かい?
一歩も動けない僕は ほどけた
靴紐 ペダルに足をかける
空回りする後輪の黒 カラカラとむなしい音
ゆっくりと挟まる君の体が静寂をまた
君が飽きてどこへも行かないよう ポケットの手袋
君の前で焦らすように とびつく体が宙を舞う
雨のやまない空の下で
雨宿りをやめたのは僕一人だけ
一歩一歩ペダルをこぐ 僕の
目にはハンドルの手袋
毛糸のほつれた僕の手袋
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