|
|
|
花の匂い
|
作詞 N. |
|
左手に持った花束から香る匂い
あなたを抱きしめたときと同じ匂い
この道を一人で歩くのは何度目だろう
空でオレンジが藍に消されてゆく途中
花は元気を失くし俯いた
かさぶたを何度も剥がすんだ
香ってきた匂いがあなたのもので
今も横に居てくれるんだと勘違いして
また痛みを蘇らせる
いつだったか 二人でこの道を歩いたね
繋ぐ君の手は温かくて 少し小さくて
頬を撫ぜる風は優しかった
かさぶたを何度も引っ掻いた
握っているのはただの花束なのに
知らないうちに強く握りしめてしまうんだ
あなたの手はもう繋げない
かさぶたはきっと完璧に
ひっつくことはないんだろうけれど
あなたを想って泣くのはもう止めにしたいから
逢いにゆくから、そこで待ってて
左手に持った花束をあなたに手向け
今来た道をまた一人で歩きだした
微かな匂いはもう消えかけていた
|
|
|