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‐手記 ニ〇〇九年某日‐
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作詞 N. |
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僕らは、何かを容れるための器として生まれてきた。
そこに好きな何かを盛りつけたり、
取り外したりして生きてゆくんだ。
きっと、器自体の大きさも色も違うんだろうね。
だからこそ僕たちは必死になって、
相手をわかろうとするんだろう。
恋だって友達だって、
出来る限りのものは容れてきたつもり。
ただ、器から溢れたらと思うと怖くて
たくさんのものを捨ててきたのも、ほんと。
僕は憶病なんだ。自分でも痛いほどわかってる。
だからいらないものを容れちゃったり、
必要なものをたくさん捨てたんだ。
容れたりまた捨てたりを、
繰り返して生きてきたし、これからもそう。
容れるのは楽だ。いやならすぐ捨てちゃえば済む。
けど今まで捨ててきたものは、もう、ねぇ……
ぽいぽい捨ててきたものを、
もし今その大切さに気付けたとして、
もう一度拾って容れようとしたとしても、
誰かにもう拾われてるかもしれない。
そうして考えてみると、
「捨てる」ってことは自分自身に対して
もう捨てたものを身勝手に呼び戻さないと、
約束を交わすことじゃないだろうか。
-手記 ニ〇〇九年某日-
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