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大航海時代
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作詞 サブマリン |
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扉絵に書かれた モノクロのタッチ
尖った鉛筆で 描いた空想の船に
へたり込んだ人影と逃げ出した人影に
彼女は何を思ったのだろう
"どちらにしても この人物達は後悔したと思うわ"
なんて言われた時 僕は胸がドキッとした
口を塞ぐように 彼女にキスをした後
手渡されたその本の背表紙には "大航海時代"の文字
何故か 僕の時は途中までしか書かれていなかったけれど
彼女は"結末が素敵"と気に入っていた
いつかの時代を紐解いて
あの時には分からなかった その続きを探して
茶色の栞に試し書きした 万年筆の跡
紺色が掠れた筆致と文体は 何処かで見た感じ
手書きで断片的な内容だから 場面が飛ぶけれど
ようやく気付いた これは古い日記
タイトルは勝手に付けられて 解釈のない夢の世界のよう
それに きっといつかの僕が積み重ねてきたものだと分かった
時を忘れたかのように 夢中で読み進めた後で書き加えた
纏められない言葉の群れに 彼女が付けた"大航海時代"の文字
まだ未完 ありもしない結末を彼女は知っていて
僕は それが何故か心強く感じた
いつかの時代を紐解いて
あの時には分からなかった その続きを探して
「これまでの話も好きだけど
これからの話はもっと好きになれる」
過去にとらわれた僕を
彼女は 知っているかのように 傍で笑っていてくれた
頭を掻きながら 現在の物語を書いてゆく
二人持ち歩くその本の背表紙には 霞んだ"大航海時代"の文字
今は それを踏まえて書いてゆく「現在形」のすべて
彼女が"結末が素敵"と気に入っていた
信じた実態のない未来へ
あの時から続いた現在
今 あの時代を纏め上げてゆく
今 あの時代を踏まえた未来を綴ってゆく
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