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タイトルのない本
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作詞 サブマリン |
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本棚に詰められた無数の背表紙
その一つを あの日僕は手にとった
文字も挿絵もない タイトルのない本に引き寄せられた
修辞なんてとんでもない
何もない白紙のページに 自らを重ね合わせていた
絶望の淵 失望の彼方
そんな時 僕らの心に届く声など何もないのです
ただ 真っ白なページが薄汚れても
“今を生きるということ”を投げ出さないように
そんな風に思うから 僕もこの本を大切にしたいのです
行間に詰められた無数の感情論
建前を書き綴る 本音を悟られないように
普段はそれでいい でもこの本だけには打ち明けていたい
偽っていても仕方ない
潰えた夢 枯れ果てた憧れも 哀しみの中で彷徨う魂と同じ
“絆の強さ 希望の力”
そんな言葉 あなたの心に届くはずなど きっとないのです
ただ 失うことと向き合う辛さを
暮らしの中で分かち合い 逃げ出さないように
そんな風に思うから 僕も
この本にありのままを書いています
忘れないように あなたとの毎日を
忘れないように 哀しみに沈んだ時を
温もりに包まれて 歩んできた道を
始まりと終わり 出会いと別れ
そんな時 僕らの心に響くのはすべてを超えた想いだから
今 真っ白なページが薄汚れても
“今を生きるということ”を投げ出さないように
そんな風に思うから 僕はこの本に書き綴りたいのです
書き切れない想いを 少しでも残せるように
本棚で一際汚れた一冊の背表紙
その一つを 今日も僕は手にとった
正解も間違いもない タイトルさえもない本を
涙と笑顔で擦りきれた本を
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