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煙草の人
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作詞 さと |
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煙草の人
私は何ができるのでしょうか
煙草の人
私はあなたに何ができるのでしょうか
その有害な白煙で肺を満たすその行為を
私は眺めていた
灰皿に押し付けた煙草、じゅ、って言って消えた
それを止めることもできず右目で見るのをやめて左目で見ていた
それを止められるほどえらい人間じゃない
右目を隠した私は滑稽ですか?
あなたに心を乱される私は
またいつもの煙草の香りでいつもの位置にいて私の中で一番の場所にいる
好きだとはどういうことをいうのか
私はわからないままわからないままに呼吸だけを繰り返す、届いて、あなたに届いて
煙草の火と
私は同じ位置づけに居たい
煙草の火と
たんすとパソコンと夕焼けと信号とワンボックスカーとまつ毛と恋と恋と恋と
まだ有害な白煙で肺を満たしていくあなたに
何も言えないまま言えないまま
隣で何事もないように笑っているけど心はめちゃくちゃに切り裂かれている
そのうち夕焼けが見えるよ、一緒に行こうか私の運転で、そんなの妄想でしかないけど
あなたは何をしている?今日は何をしている?
見当もつかない、恋をしたけど他人だから
思い出すのも考えるのもつらくて目を閉じた、真っ暗な世界にあなただけが映ったまま
水面に映ったその姿もいっそ消してしまおう、呼吸音が耳障りな毛布の中、
つないだ手、一緒になろうってどういう意味なのかもう一回訊いてもいいかな
私は今日もあなたの後ろを歩く
前は歩けない
癖は直らないまま髪をいじりながら
ふらふらしながら歩く、通り過ぎたあなたの姿
振り向いたら笑ってた、白い白煙は私を包む
振り向いたら泣いてた、私はもう涙の人形でしかない
煙草の人
世界がもしも明日終るとしたら
煙草の火と
枕と毛布とからだとこころをもってきて
それだけあればあなたを感じられるだろう
必要最低限でいい、あとなにかいるならお好みで
ふたりがいればいい たとえあふれる妄想だとしても
張りつめた空気の中でぼんやり終わりを感じられればいいんじゃないかな
夕日が眩しいのもあと何時間
最期に焼き付けておきたいのはあなたのこと
煙草の人
きれいな愛の歌はいらないから声を聴かせて目を見させて涙も平熱もまつ毛も全部、全部全部全部、私のものにしてもいい?
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