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憂鬱
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作詞 ゆき虫 |
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一
暗闇の中から見下ろした摩天楼
掴みかけたものが零れている事気付かずに
正体のない夢に取り憑かれ
振り向く事さえ困難な
細く頼りない道が続く
自からの落ちゆく場所を見つけられず
既に行方は跡絶えてしまった
見下ろす街にも
もう人影は見当たらない。
二
残された少しばかりの情操は
時の流れの重さで
自虐へと変わり拡大し始める
心の奥底へ閉じ込めてしまった憎愛を
被覆する程の優艶は夢の中
昇華する程の虚無にも成り切れず
まるで
照りつける光から逃げながら
今日一日ただ生き存えたらと祈る
死線に立つ少年の様に
三
思考しなくなった物体を休める
空虚な時間
無意味と有意義の区別さえ曖昧に
ただ ひたすら時は流れゆく
積み上げる時の苦しみと
捨て去る時の哀しみ
それに伴う喜びと解放感は
いつも果敢ない
四
誰も真実の心など見たくはない
虚栄の優しさを持っていない
人などいないだろうから
ただ 静寂の中に漂う寂しさを
消し去るための響があればいい
それが上辺同士の心と触れ合って
共鳴しながら沈んでゆく
そんな過程が心地良い
五
目に映るものは全て
朱に塗り潰された玩具のように
気に食わないものばかり
欲望を制御する事が出来ず
後悔に苛まされる
繰り返し繰り返し
まるで振り子の様に
脱出することを知らない
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