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陽だまりが射さる
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作詞 愛弓歌 |
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二人で甘いイブの夜を越えて
君を見送った朝の帰り道
下りの電車はガラガラで
朝靄をかき混ぜながら軽やかに走る
聖夜に甘いキスとイルミネーション
そんな記憶の色に染まっても
幸せに混ざった不純物が
確実に心のどこか片隅に巣食う
七色に輝いた木々に星を乗せ
踊る光は確かに美しかった
それなのに君の横で僕はおぼろげに
虚飾のその向こうを見つめてた
電車が河に架かる橋を叩くと
駆ける半透明の窓はゆっくり
ひどく単調にゴトゴトと
切り取った青の絵画に五感を吸い込む
黄金色に照らされた水面に星は駆け
ガラスの隔たる世界の温度差を埋める
足元を鳴らす音はとても軽快で
抵抗も無く無垢を掻き立てる
小刻みに揺れる陽だまりの中 一瞬君を忘れた
「いつでも君の事を想っているよ」
茶飯事となったそんなうわ言も忘れ
ただひたすらに愛を忘れた
幸せじゃないわけじゃない
ただ何かに怯え積み重ねた造作は
もう一人の胡散臭い僕は
この景色には溶けない気がしたんだ
心まで届く陽だまりの中 一瞬僕を忘れた
「いつでも君の事を想っているよ」
心の表層を這ううわ言の奥に
君より深く陽射しが触れる
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注
朝靄:あさもや 虚飾:きょしょく 黄金色:こがねいろ
水面:みなも 胡散臭い:うさんくさい
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