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九月九日
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作詞 KIEL |
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それは雨の日
君は僕のアパートの前に一人たたずむ
僕はそっと
君の濡れたほおにふれた
少しずつ感じ始めていた
終わりが近づいていることを
君は何度も「愛してる?」と聞く
僕はそっとうなづく
君は今にも泣き出しそうで
何かを伝えないと
時が凍ってしまうかのように
沈黙を恐れた
君はきっといつか
僕ではない誰かのために
生きていけるだろう
僕は今日、九月九日
この日を忘れないだろう
君は言った
「あの丘を見に行こう
二人が出会った丘を」
君は僕の車に飛び乗り
僕はエンジンをかけた
君はずっと二人の思い出を話した
僕はふとそれが思い出だと気づく
君は唇をふるわせながら
それでも笑っていた
丘が近づくにつれ
君の笑い声は大きくなる
丘に着いたとき
君は一瞬(ひととき)笑うのをやめた
君は丘の上までかけた
僕もいつものように追いかけた
丘の上のあの木を目指し
勝ったのはやっぱり僕だった
君は約束を作ろうと言った
「10年後もし
二人が今を懐かしく思えたなら
またここで会おう」と
僕は今、丘へと車をはしらせる
丘を登ってあの場所へ
高く茂る木の下へ
僕は今走り始めた
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