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勲章
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作詞 酢 |
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祖国の英雄 彼はそう呼ばれていた
その胸には 光り輝く金の勲章
いかなる戦場も 潜り抜け
どんな作戦も 成功させた
軍服を着こなし ライフル抱えて
「人なんて簡単に殺せるんだ」
彼は言い放った その後に微笑んだ
戦争が終わり 彼の国は勝利した
胸躍らせ 栄光の門に凱旋した
止まぬ拍手 舞う紙吹雪 響く歓声
彼の目は 群衆の中の一人を探してた
再会を誓った 生き残るための理由
人の列が終わり出す 理由が見つからない
演説を頼まれていたはずなのに
彼は すぐさま 理由を探しに向かった
光り輝く勲章を胸に 誓いを果たしに
息を切らして たどり着いた
懐かしい香りのする 一軒家
ノックをする 誰も出てこない
ドアノブ まさか と 回す
開いている おかしいな
彼の目が涙目に変わりだす
途端に彼は 二階へ駆け上がり
迷わず一つの部屋のドアを開いた
彼の目から涙が溢れかえった
理由はとうに 潰えていた
ベッドの上でまだ綺麗なまま目を閉じて
彼の帰りを最後まで待っていたかのように
金の勲章は輝きを失った
「人なんて簡単に殺せるんだ」
この一言が 彼の中で木霊した
たった一人 も 守れずに
また 会える さえ 果たせずに
そんな時にさえ 鳴っている音
彼は聞いた しっかり聞こえた
左胸の勲章 真っ赤な 勲章 から
生きている という確かな音
やっと 気付いた 自分の犯した罪に
震えが止まらない 涙も止まらない
もう 英雄なんかじゃない 何もできない
眠ったままの頬を擦った後 震える手で
自らの左胸を押えつけ 再確認する
生きなければならないこと
唯一無二 自分だけの 勲章 を
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