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その手の中
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作詞 夕風 |
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一人の年をとったおとこが
ずっと大切にしていたもの
しわが刻まれたその手で
いつも大事そうに持っていた
その手の中には何があるの?
聞けばいつもはぐらかされてたっけ
そんなに大事なものなの?
いつか話してあげるさ
優しくほほえみながら言ってた
未だ小さな僕は
よく頬をふくらませていたっけ
ほんとうに片時も離さなかったね
けれど
それがなぜか僕を
とても切なく感じさせてたんだ
その手の中
時々見ては とても優しい笑顔になっていたね
天気がよかったあの日
近くの公園に行った
ベンチに座ってたおとこは
悲しそうにうつむいていた
なくしてしまったよ
僕は励まそうとしたけれど
輝くしずくが
目の前の男の頬をぬらしていた
いつもの笑顔が恋しかった
一人の年をとったおとこが
ずっと大切にしていたもの
しわが刻まれたその手で
いつも大事そうに持っていた
なくしてしまった次の日
その姿をけしてしまった
それから何年かたった
ふと下を見れば
輝く何かがあった
僕の手の中
内側に名前が刻まれた銀色に輝く輪
あの人の指にも同じモノがあったっけ
同じ公園のベンチ
頬を伝う涙が止まらない
ずっと大切にしていた意味が
ようやくわかったよ
その手の中は何があるの?
僕はいつか聞かれたっけ
いつか話してあげるさ
大事にそうに包みながら
ほほえみながら言ってみせた
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