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ある音楽好きな男の話
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作詞 詩人 |
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広いステージの上に
その男は立つはずだった
彼はこの日を待ち侘びてた
今でも思ってるだろ
彼は天才と呼ばれてた
だが彼は決して努力を
怠りはしなかった
彼の声は不思議だった
一瞬にして人々は
彼の世界に迷い込む
彼にはちょうど2年前
1つ年下の彼女ができた
彼は彼女のために
歌を作り続けた
たった一人のために
彼の音楽は世間に
認められたちまち有名に
しかし彼は彼女への
歌を作り続けた
彼がこのステージに
立つと言われたのは
ちょうど3ヶ月前
しかしその頃彼には
重い病が忍び寄っていた
それに気づいているのは
彼だけだった
彼は彼女の悲しむ顔を
見たくなかった
彼はいつものように
歌を作りつづけた
彼女もいつものように
その彼の姿を見ていた
このステージの上に
彼は立っているはずだった
彼の声を聞くことは出来ない
しかし
彼は天の上で彼女を見ながら
歌を作り続けていることだろう
いつかまた
彼女のため、いや
このステージの上で歌える日を信じて
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