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虎の威を借る?
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作詞 蒼羽 |
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ある日虎が寝ていると
一匹のキツネが通りかかった。
しめしめ、獲って喰ってやろう。
飛び掛ろうとしたそのときに
振り返ったキツネがこう言った。
「あたし、神の使いなの。
食べたら罰が当たるわよ。」
虎は正直、心配をした。
こいつの頭は大丈夫か、と。
今時、神の使いなんかいるものか
何とか言いくるめて喰ってやろう。
「疑ってるわね?そんなに言うなら
あたしの後をついてきなさい
みんなビックリして逃げるから。」
突如キツネに言われて虎は思った
ふむ、それはまた面白い命乞いだ。
しばらく付き合ってやろうかな。
キツネの後ろを虎が歩くと
動物達は驚いて森の中へ逃げていく。
「ほら、あたしの言うとおりでしょう?」
キツネは変わらず憎らしく
虎に言ってやったけど
虎はしっかり見ていた。
キツネの足がさっきから
細かく震えていた事に。
虎はしっかり分かってた。
動物が自分を見て逃げている事に。
「わかったらさっさとどっか行きなさいよ。」
強がるキツネがかわいくて
虎はポロリと言っていた。
「俺はお前を喰わないよ。」
キツネを守りたいと思ったから
キツネを好きになったから。
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