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夢と風
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作詞 倖邑 普月 |
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夢らしきその世界で 僕は父に会った
子供の僕と父
かすかな記憶
色々な出来事
いろいろな人達
共に過ごし いろいろなことを学んだ友達
確かな言葉があったわけではないけど
けれど僕らの間に流れる空気や会話は
信用しあえる者達にだけ持ち得る空気だと思う
ずっと親友だと思ってた
ずっとそうだと信じてた
だけど
確かめようとはしなかった
問題を先延ばしにしていたのかもしれない
周りへの配慮や 道徳観念からかもしれない
状況を楽しんでいたのかもしれない
・・・ただ――怖かっただけかもしれない
ともかく
僕らはそんな風だった
僕らの風は凪いだままで――
夢の中でも それは同じだった
気持ちを込めて笑いながらも
ただ無言で時を過ごす
そんな 夢
何時か見た遠い記憶
その夢のことは
誰にも話していない
僕だけの 記憶に・・・―――
目を開けた瞬間
強く風が吹いた
強く吹き込んだ風に目を閉じて
その風に乗せるようにそっと呟く
僕がこれから話すのは
これまでの僕らの先にある話
聞いてしまったら――
答えられてしまったら――
その線を越えてしまう・・・
これはあの頃の僕らの会話
まずはそこから始めるべきなのだろう
風が吹き
僕は再び目を閉じる
風はまだ吹いている
僕には分かる
分かっている――
今聞けば・・・壊れてしまうかも知れないこの友情を
それでも確かめておきたいんだ
今
たった今
僕はその風に目を閉じる
そうして風が共に去るのを待つ
次にこの目を開けたときに映るのは
僕だけの道
けれど僕は独りじゃない
確かめた気持ちが此の胸にあるから
目の前には 眩しいばかりの僕らの未来
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