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人混みの中で君は。
作詞 蘇季
全てを見失ってしまった僕は
通り過ぎていく町並みを
横眼でただ見つめていた。

二言、三言 吐き捨てて
近付くモノに刃を立て
怯える人の顔を見て哂っていた。

それと同時に得る虚しさの意味を知りながらも
人混みの中消えていく面影を見ていた。

昔からある傷を見て溜息一つ。
「あとどれぐらい・・・」
空を見る。

飛行機雲が渡る景色を
誰にも見えてはいないらしい。

通り過ぎる人は皆 時計ばかりを気にして
些細な世界の変化に気付かずに通り過ぎていく。
「もどかしい。」

生命あるモノ踏みつけて
何事もなかったかの様に消えていく人たち
「苛立たしい。」


そんな日々を過ごしていた。
そんな僕の姿を見える奴なんぞ
何処にもいなくて
だから歌った。
色褪せた歌を歌った。

久々に目の前に人がいた。
いつも通り追い返す気でいた。
「どうせお前も 」
いつも通り刃を差し出した
珍しい。
「何故逃げないの?」
睨みつける視界に今では君だけが映る。

「震えてるから。」

たったひと言、残して
手に在る刃を握った。
何も言えなくなった僕から
刃は離れる

時計の針の音が
やけに五月蠅くて
耳を塞ぎ、凍てついた

朱紅く地を染める
毒は全てに廻って
朝の訪れが聴こえる日まで

僕は眠りについた。

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公開日 2011/02/28
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コメント 偽善者の戯曲(ひとりごと)。
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