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水平線エスカレーター
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作詞 歪み |
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戻る事は出来ないと後悔したあの日に
先見をしながら ゆっくり歩くことにした
歩幅は小さくなった 言葉の出も遅くなった
頭の中で一瞬の空白が増えた
急ぎ足で縺れて転んでばかりいたから
転ばなくなったら 次は躓く事から怖くなった
慎重に歩いているせいで 臆病になった
周りがよく見渡せるから
見たくないものまで見えてしまうようになった
後悔したくないからと選んだ道では
絶望感と失望感が胸を張っていた
振り返ったら壁が立っていた
足は歩き続けている 水平エスカレーターみたい
強制的に動かされて 疲れていても止まれない
背中に張り付いた壁に寄り掛かる
冷たくて 閉塞的だった
足を止めた 床は動き続ける
景色だけが変わっていく
馴染めなくなる事を恐れ焦り始めて
ふと目に止まった光景に心ごと引っ張られた
あなたは座り込んで 足を伸ばしていた
退屈そうでもない 時折鼻歌も聞こえる
映画鑑賞のように 景色を見ていた
馴染もうとすらしていなかった
あなたの周りはあなたの色しかなかった
だけど そこは とても暖かそうで
急ぎ足の誰かがあなたに話しかけていく
あなたはその人を見送って 手を振った
何人もがあなたに声を掛けて
時折一緒に同じ景色を眺めた
何かを見つけたあなたは 四つん這いで近寄って
また流れを早めず座り込む
傍から何かが落ちても 見送るばかり
過ぎ去ったものを求めて手を伸ばしたりもせず
ただ流れるままに生きている
馴染まなくてもいいのか
焦る必要なんてないのか
一体どこを目指して 何になろうとしていたのか
目的なんてなかったのに あるフリをしていた
自分の色なんて無い 作る事もしなかった
ただ 周りと同じでいる安心感だけを追っていた
そのことに気が付いたのは いつだったか
流れる景色にあなたはいない
随分前に 全てが止まってしまった
安らかに眠ったあなたを見送り
僕はまた 座ったままで
映画鑑賞のように景色を眺める
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