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臆病者の明日
作詞 歪み
 自由闊達だったあの頃の僕らは
 季節を問わずに全身から熱を放っていた
 覚えているかどうか知らないけど
 今よりもっと余裕があったよ
 
 いつからこんなつまらない人間になったんだろう
 あの頃見ていた先の世界は
 くだらないことに拘ってなかったな
 好きな事をしたかった
 そうして生きて行きたかった
 そのためにできる事はやってきた
 やってきたはずだった
 自分の掌を見てみろよ
 努力の証なんてカスすら残ってない

 一瞬だったんだ
 頭の中に穴が開けられた
 風通しをよくしたところでさ
 このザマだ

 人生は自分で開拓するものだって言ってた?
 そうだね 確かにそうだろうとも
 本当に開拓出来るのは ほんの一部の話だ
 躓いて転んだ
 たったそれだけの事だった
 階段から転げ落ちたように怪我をした
 目視できない傷口から
 絶え間なく流れていく気力が
 諦めの空気を立ち昇らせて吸い込んでいた

 気怠い身体を起こして
 重苦しい頭を持ち上げて
 ホコリを被った目標が
 部屋の隅から僕を見つめていた
 どうせなら睨んでほしかった
 罵倒してほしかった
 罵詈雑言で嘲って
 「こんなもんかよ」「その程度かよ」
 そんな声を聞かせてほしかった

 砂利を踏み荒らした午後3時
 日差しの強さに苛立って
 八つ当たりして壊した立札
 欠けた木目の隙間から
 啜り泣きが流れ出した

 夢とか希望とかを笑った
 叶えられなかった過去の自分を笑った
 笑いながら泣いた
 何を間違えたのか分からないフリをして
 本当はわかってたんだ

 臆病な僕の生涯を嗤ってくれ
 望んだ未来の道は陽炎のように見えている
 そこへ足を向けられないのは
 失敗する事を恐れて蹲み込んだから

 面倒くさいなんて言い訳してる
 どうせ無駄になるなんて予言者のフリしてる
 こうなる事を予想出来ていなかったくせに

 でもさ ねえ ごめんって
 投げ出したくせに棄てられなかったこと
 怒ってるんでしょう
 たったひとつの理由さえあれば
 あの頃とは違った熱量で
 怖いもの知らずになれるんだよね
 手を伸ばすのは僕のほうだよね

 

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公開日 2020/09/01
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