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お母さんへ
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作詞 もずく |
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覚悟は出来てる
そう思い込んで
あえて雑談で終わらせたくて
送った他愛もないメッセージ
覚悟は出来てる
でも最後だなんて
思ってなくて 思えてなくて
思いたくもなくてふと目を閉じて
文字でしか話せなくなってから
三回目のおやすみ おはよう は
既読がつかないまんまの
何よりも伝えたかった
気持ちのこもった挨拶だった
聞いていたかな
通知音だけでも
聞こえてたかな
私の叫びが
覚悟は出来てるそう信じてた
"その時"は今日じゃないはずだって
当たり前に明日くらいあるでしょう
って
同じことを
毎日
思ってた。
全部伝え切った
今までのありがとう
後悔なんてしたくないから
幼稚園のときから遡って
全部伝え切った
今までのごめんねも
照れている暇があるわけないから
言えずにいた将来の夢まで
「何か言いたいことあったんだけどな」
後悔が怖いから咄嗟に出る嘘
「ごめんね、思い出せないや」
言えなくなってから思い出す
「私、あなたに死んで欲しくない」
伝わったかな
私の後悔が
伝えられたかな
私の本音が
もう会えないって気づいた時には
伝えたいことばかりが増えていって
あの時言えばよかったんだって
また
同じことを
ずっと
思うんだ
「苦しまないで死にたいの」
そんなこと言われたら
「治療をして生きて欲しい」
なんて言えないよ
「苦しむのはもういやなんだ」
そんなことわかってるよ
「それを乗り越えて欲しい」
言えるわけがない
「承諾してくれる?」
涙目で頼まれたって
「わかった」
なんて言えるわけないよ
「最後のお願いだから」って
こっちも「最後のお願い」なんだって。
あなたに言う最後のわがまま
「死なないで」
聞いていたかな
通知音だけでも
聞こえてたかな
私の叫びが
覚悟は出来てるそう信じてた
あなたがいないのに世界が動く
あなたが死んだのに平然と動く
関係もない見知らぬ親子に
あなたと私を重ね合わせて
届くはずもないメッセージを
小さい世界で打ち続けてる
そうして今日も生きていく
来るはずのない返信を
狂ったように生きがいにして
見ていますか お母さん
見てくれてますか お母さん
世界で一番純粋な心で
右斜め上の空間に手を振る
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