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にんげん
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作詞 扁平足 |
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あなたと私は人間だし、日本人だし、関西人だし、大阪出身だし、住んでる市も一緒だし、通ってる高校も一緒。
違うことといえば、性別と、学年と、趣味、性格くらい。
ねえ、どうして?
これだけしか違わないのに、いつまでたっても会えないの。
どうして?
あなたに会えることを期待してホームルームのときにほんのり色付きリップぬって、
教室を出て、あなたを探してると悟られたくないから、イヤホンつけて、でもあなたの声は聞きたいからかたっぽだけね。
おんなじ校舎にいるはずなのに、こんな狭いところにふたりともいるんだよ。
なのに、なのにどうして、
何回目、これで何回目、
あなたのこと考えて、やっぱ今日も会えなくてしょげて石ころ蹴飛ばして
帰り道くらい会わせてくれたっていいじゃない、って神様に毒吐いて。
待ち伏せとか、しちゃおうかしら。
そんなこと10回くらい考えたけど、実行したのは0回ね。
今日も、会えないんだろな、そんな風に考えるようになったのはいつからだろう。
私のせいじゃないわ。いつまでたっても会わせてくれない神様のせい。
ふいに、ふいに、見えたの。
ちょっと癖っ毛な髪の毛。
小柄だけど、ちゃんとがっしりしてる体格。
いつものボロボロ青リュック。
せんぱい。
ローファーをこつって鳴らしてまた止まって、
なんでなんで迷うの私。
今まで会いたかったんでしょう。
やっと会えた帰り道。
またローファーをこつって鳴らして、喉の奥までせんぱいだ。
なんで唇まで来ないの。
ああ曲がっちゃう。行っちゃうせんぱい。
冷たい冬の空気を口に入れ、私は叫んだ。
せんぱい。
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