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廃品
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作詞 となみよくと |
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昨日と今日の類似性
威力を持った平和主義
殺人事件のニュースの既視感
拡張する空虚
医者の食い物にされる病み人
ゴミ箱の中、書き損じた遺書
人生は慢性的、きっと飽和状態
ホテル街に消えたカップルの背中
概念の押し売り
道徳の授業、統一感を持ち始めた倫理観
嫌に賑やかな街の喧騒
閉鎖的な自作小説
きらびやかな山鹿灯籠
悲しみの許容と共有
頬の青あざ
固有名詞の作為
人知れぬこれまでの不運の道半ば
承認欲求
釘を刺されたレトリック
夢は太宰とお揃いの入水自殺
主観に踊らされた人々の様相
フィルター越しの三千世界
自己嫌悪が産み落した自己愛
AIが模倣した人間の心
かつての産物、生命倫理
売血で買った腕時計
一括削除した未送信メール
友達という言葉の体のよさ
愛玩動物と駆り出される豚
マッチポンプな営み
逃避する現実も不在の暮らし
SNS上での饒舌さ
取り違えられた価値観
ニヒリズムの流行
延命装置が再現した生ける死
二十五時の国道を走る非行少年
土から生まれ土に還る命
夢のために捨てた故郷
余命幾ばくもない祖父の病室
厭世的な思想に酔った素面の男
混濁した様々な感情
あの娘と見た校庭の夜桜
ガラクタみたいな詩
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