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うた唄い
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作詞 となみよくと |
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うた唄いが囁いた愛と夢の数々が
CDに吹き込まれて千数百円
優しさの類に飢えた購入者の
穴埋めすることもままならぬ空虚
それを食い物にする彼ら
不幸な人がいるから幸せを歌う
病人がいてこその病院
戦争あるが故のノーベル平和賞
道徳も法律も悪人由来
何が起因として幸福が根付くか
それは線引きで定義されるから排他的
幸福が押し退けた不幸は副産物
その絶対数だけそれらは渦巻いて
生き死に共々から逃れられなくて
涅槃を疑って
承認欲求が引き金を引くリストカット
昔が幸せだったんじゃなくて
もう幸せを感じられなくなっただけで
私ももう平均寿命の1/4
恥の多い半生を送ってきました、
なんてジョーク笑えねえ
学問化した幸福は概念でしかなく
ざわめいた心の中核にこびりつき
幸福な気分だけじゃ最早不幸で
幸福を追及すれば
さながらそいつはカルトで
こんな自閉的なイデオを綴る私も
同様の一派の一人で
排他的故に相対的な幸福論で
幸せを掴んだ手は誰かの血で汚れていて
土から生まれた命が土に還って
その上で営まれた幸せは不謹慎で
死体が眠る星の上では
笑える場所なんて何処にもない
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