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脱構築
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作詞 さばの味噌煮光線 |
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紫と赤と水色の間の空には
綿菓子が浮かんで
端っこが千切れては
淡雪然として降っている
川は風
風は川
液体でも気体でもなく
液体でも気体でもある
目の前の空間を流れている
「目の前」という言葉で定義される空間にのみ
流れている
整った菱形の花びらが
二のべき乗の数だけついた花がある
オレンジとピンクのは
隣の女の子から
ブルーブラックのものは
小フーガの館から
分けてもらったもの
美しいゴキブリと
愛らしい女郎蜘蛛が
餌をめがけて
血で血を洗う
その場で怯える幼稚園児の表情の青虫
性別の選択肢と
音の広がりは無限
人の顔は
十回会うまで不定形
決まっていることになっていても
未観測のものは
主の働きに応じて
猫さんが決める
観測した瞬間に決める
猫さんは神
平仮名の「ぬ」と「を」はそれに準ずるもの
ベンゼン環は帝の証
統制の取れた形が調和を称えるもの
空間は伸びたり縮んだり
時間は昭和と近未来を
行ったり来たり
ごちゃ混ぜにしたり
次元は〇から無限まで
飽きたときにルーレットで決めなおす
他の世界が近づけば
脆く壊れてしまう
この世界自体があるいは
綿菓子の淡雪でできているのかもしれない
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