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アンチューサ
作詞 ばしょー
昨日君が死んだらしい
そんな訃報を耳にして
とりあえず涙を拭う支度をした
聞きたくない悲劇の語り部
嫌な言葉がこびりつく
君はもう消えたみたい

死せる天の川
こもる君の体温
幾重にも轟いた
茨の道の末路
結露で湿らす

君の前では無垢な奴隷でいたかった
毎日気分十三階段
だがそれが快感

「此処は何処?」

成り行きで歪む感情
劣悪な日々のササクレ
毟る負債も くだらないその理想も

残像に身を委ねて
考える誠に死の花束を
アンチューサ 足下に群がる
午前零時君はいない

涙を降らす陽光
天照神々の詩
理由無き反抗
悔しさで軋む
憎悪 醜態 悪行 大罪
離反 剥奪 虐待 腐乱
災害 人災 欲情 怠惰
玉砕 反旗 欺瞞 不平

君の眼に染み付いた
疚しいだけの悲しみ
追憶 書き込む 毀誉褒貶
残骸 貪り食う 明滅消滅

心臓を貫け黒い氷柱
曲がり角の虚しき通り魔
汚い声が犇めく
雑多に咲く花達
その中に一輪の花を

多弁な偽善者
錆びた空を穿つ悲痛
乱立する凶器 狂気 競技……?

アンチューサ
火を付けて燃やせ
明日を夢見るため
辛い記憶を擂り潰して
流れる君をただ嘆いていた

天の川にとけたよ
唾を呑み込み息をする
満開に咲いた大切な花達
理想に奪われる時の流れも
これで最期だ

崩れゆく世界を君と観ていたいだけだった、ならば死せる刹那を共有したくて顰めた、腐海に溺れる人魚のような、面倒な蛇足で被されたしがらみ、一人きりで歌う天使に捧げる

「お前の世界は此処じゃない」

万歳 揺らぐ世界
腐り果てる俯瞰する気紛れ
万歳 ゆらめく情景
陳腐な街並み悪臭漂う白痴
万歳 万歳 万歳
悪者共 皆笑顔 大団円 拍手喝采

能書きに記された未来
首を括る くたびれた麻縄
淡い未来を感じていたいだけなのに
生きていたいよ
覚めた欲望に苦しむ
揺さぶる高揚
囃し立てる選択

世知辛い人類
そんな気持ちで何を見る?
君がそれを、一番に理解していた

息をする度に命が削れる
磨耗した人生
無益に濁した夢の跡
もう何も知らない

安寧を願う信者
傀儡国家まだ死ねない
嘘吐きの愚かな詠み人
三文芝居立役者嫉妬歯軋り

「主役は一人でよろしくてよ」

夕暮れ野畑を見渡す
確かにそこにいた君の存在
手向けよ アンチューサ
聞いてくれるかい?
僕のこの声 まだ今は…
もう悲し過ぎて見てられないよ

寂しさで凍えて壊れて喘いで
切れた手首から命を垂れ流す
そんな自分が嫌いだ
嗚呼 貰ってばかりの無能な命
息を止めて嘆いて叫んで悔やんで…

「君はもういない」

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公開日 2016/07/14
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カテゴリ 紊掩
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