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砂漠の幻想宝刀
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作詞 スペード |
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何の躊躇いも無く棄ててきたものに、
これほど執着したことが、あっただろうか。
この感情を愛と名付けてみたところで、
世界はどれほど汚く生まれ変わるか。
今まで求めてきたものとは
あまりにも違ってはいるが、
しかし、一度伸ばした手を
引くことなど、出来やしない。
――くるって、いるのだ。
蕾さえ付けていない花を摘むように、
ありのままの姿に逆らう。
そうしてまた、今日のこの日を、
同じ歪のなかで終えるのだと。
それもまた、“特別”なのだと――
役目を果たすだけでいいのだと。
明白に示したのは誰の為か。
その小さな姿に映した己に、
言い聞かせるように繰り返す。
そこに希望はあるはずだが、
無かったもののように払い除け、
細い首へと、手をかけて。
「お前はどうだ」と、試すかのように。
…では、あなたこそは、どうなのです。
――なにが、ちがうというのだ。
この下らない世界を観た瞬間が、
単に、早いか遅いかのその差だけ。
だからまた、同じ時間を
等しく潰していくのだと。
それこそ、特別であれと――
遥か彼方に棄てた愛を…
感情以下に成り下がった愛を…
開くべきではなかった扉の先は…
ふたりぼっちだと、お前は笑う。
禁忌を纏った螺旋が深く、
砂の底へと沈みゆく。
それは、あまりにもくるおしく。
そして、あまりにもいとおしく。
果てなき渦が孤独を巻き取り、加速して。
ああ、もう、そこには。
渇きと。
日常と。
不変と。
そして。
ひどく捻じ曲がった、まっすぐな愛だけが…
そして、砂漠に花が咲く。
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