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雨の降る日
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作詞 古閑 |
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傘の下で子猫は思い出す 自分の手でこの傘を握ってたこと
傘の下で子猫は思い出す 温もりの中で生きていたこと
あとどれだけ待てばこの雨は降るのをやめるだろう
濡れた尻尾を振りながら空を見上げてる
足元に出来た水溜りに浮かんだ自分の顔
懐かしい新鮮さに満ちた今の自らの声
私はこの手の平を暖かいと思ったことなんか
一度もあるはずなかったけど
どこに居ても微かに響く記憶の奥に大切も一緒に残っていたよ
まだ水を降らす雲の下で子猫は思い出す
憧れた人やものがまだこの世界にあること
色を変えずにいる空の下で子猫は思い出す
輝きの中で静かに言葉を送られていたこと
私の気持ちすらまだ誰も分かっていないって知ってるけど
この街で変わらないままの景色を見てたことは覚えてるよ
少し弱くなった雨の中子猫は思い出す
学校帰りの子どもの輪に自分が居たこと
今通り過ぎた女の人 見覚えがある気がした
気がするだけでどんな人なのか忘れてしまったけど
もうすぐ傘の下から出れるかな そろそろ止めるかな
手から落ちる雫の一滴をじっと見つめてみた
私が求めていた世界とちょっとずつ違うかな
今更考えたってそれだけはどうにもならないけど
私は今ここで呼吸もしてるけど体もあるんだけど
同じ姿をしてるのにどうして記憶の中に閉じ込められたんだろう
思い出したのはここに来る前の一つの笑顔
忘れていなかった微かな音を求めて待っていたんだよ
ずっと待っていたよ
すっかり止んでいた雨の中 子猫は思い出す
まだもらった温もりを大事に出来たこと
傘から出た体を太陽が照らしていた
思い出せたことだけは一つだけじゃない
明日もきっと生きていけること
鮮やかに静かに 思い出す
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