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僕はドアをノックした
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作詞 紗散 画宮 |
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現実と向き合うことの
大切さを説いた高尚な彼が
胡散臭いおっさんに見えたんだ
誰かに理解されようと
必死に頑張っているもんだから
だんだんと老けて見えて行くんだ
周りの評価はまぁ散々
放課後みんな散り散り
「結局現実ってなんだろうね」
道行く黒ネコに問いかけた
走り出したネコの行く森
なんとなく追いかけて行く先
黄色いテープを飛び越えて
僕はドアをノックした
こんなの僕は知らないよ
白と灰のコントラスト
人々はちゃんと本物で
さも偽物みたいな表情(かお)をして
喋り声のないクロスロード
僕の「なにこれ?」が残響して
集まる視線が痛すぎて
僕はそっとドアを閉じた
現実と向き合うことの
大切さを説いた高尚な彼を
尻目に僕はペンを回してさ
今日は何が見えるのかな
なんて内心ワクワクを膨らませて
隣のあいつにキリンを回してた
森林に佇むドアは
それからも景色を変えるから
公園のブランコは置いといて
季節とマイブームは移り変わる
あいつと別れて散り散り
あの黒ネコにも手を振って
黄色いテープを越えた先
僕はドアをノックした
こんなの僕は知らないよ
白と赤のマーブルベッド
女が寝ている傍らで
裸のそいつがカバンを取った
ギョロギョロ動くワンズアイズ
僕の「なにこれ?」に振り向いて
何故か不気味に笑うので
僕はそっとドアを閉じた
財布を探してたあいつは
幸せに生きているだろうか?
よく分からない僕に彼は語る
「よく分からない だから現実って怖いんだよ」
いいとこ持ってった隣の彼は
胡散臭いおっさんだった
こんなの僕は知らないよ
白と虹色の屋上風景
信じ切ってたファンタジーは
紛れもないリアルなお話しさ
拗ねてしまったマイブーム
「現実探しでもしましょうか」
歩き始めた僕の耳に
自動車の嘶きが聞こえたんだ
こんなの僕は知らないよ
赤と紅と朱の通学路
黒毛の小さな四つ足は
どこかで見かけたあいつだった
辺りを支配する現実が
僕の「なにこれ?」を嘲笑って
嗚咽をこらえ目を閉じて
僕はそっと鍵をかけた
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