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想い出は溶けゆく雪の如く
作詞 桐峰
いつもとおなじ帰り道
いつもより少しだけ、なんだかソワソワする

ポケットのケータイからメロディが聴こえる
久しぶりに鳴った、君からのメッセージ

ウキウキして君が来るのを待つ
かつてのように、笑って手を振りながら
駆けてくる君を心待ちにして

大きくて真っ赤な大時計が6時を知らせる

何?

今日の時計の音、いつもより音が寂しく感じる
リーンゴーン・・・ リーンゴーン・・・

人ごみの向こうに、君の小さな頭を見つけた
ぱっと笑顔になって、跳ねるように駆け寄る俺
なんだか、夢中で駆け回る仔犬みたい

遊ぼっ!  ねぇ遊ぼっ!

けれど

君は、笑い返してはくれない

どうしたの?遊ぼうよ!
どうしたの?・・・笑ってよ!

・・・俺、ずっと待ってたよ
君だけを、待ってたよ
何度もおしゃべりしたかったよ
何度も会いたいって思ったよ

どうしたの・・・?ねえ・・・どうしたの・・・?
何で、目もあわせてくれないの?

やっぱり・・・

 まだ・・・怒ってるの?

メールすら送れなかった
返事が来ないのが、怖かったから
とてもとても、会いたかったのに

・・・ごめんね

許してもらえるわけ、ないよね
あんなにひどいこと、しちゃったもんね

・・・ごめんね?・・・さよなら

去っていく小さな背中を見つめ続ける俺
まるで捨てられた仔犬みたい

俺、君を大切にできなかったんだ・・・
俺、君を幸せにできなかったんだ・・・

淋しい並木道が、桜の舞うトンネルになってしまうほど

ずっと・・・ずっと・・・

つないだ手のぬくもりはもう感じられない
君がやってくるのを、凍える両手に息を吹きかけながら
待ち続けた夜も、もう思い出せない

・・・春なんて・・・

春なんて、やってこなければよかったのに・・・
溶けてゆく雪のように、想い出は流れて、薄れていってしまうのに・・・

黄昏と紺碧のせめぎあう空を見上げて、
最後にもう一度だけ、笑った

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公開日 2008/03/31
ジャンル 荅鐚鐚
カテゴリ
コメント 最初は、なんでもない些細な出来事。でも、すれ違いを繰り返し、いつしか、相手の心がわからなくなってしまう。そんな詩です。男性の視点から書きました。なかなか素直になれないんですよ、多分。
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