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パンドラの箱
作詞 K
どこかで聞こえた「助けて」を それだけ頼りにその家に着いた
窓から明かりはこぼれそうもない きっとここだとドアを2度叩く

ドアが開いたら光を見つけた 月明かりが照らした君の涙
道理で君には見えないはずだと 僕も泣いてみせた

大丈夫 君の声は聞こえるよ
誰にも届かないと思っていたんでしょう 誰も来ないと泣いていたんでしょう
それでもたった2度のノックでこの部屋へ入れてくれたのは
今考えるととても素敵な奇跡だったよね



それでも部屋は暗すぎて 何が置いてあるのかもわからない
とりあえず太陽が昇るのを待つことにしよう 僕が隣にいるから

窓から日差しがこぼれると 散らかった机の上 洋服 雑誌
何か探し物をしていたかのような 君の赤くなった目

大丈夫 ふたりで片付けよう
どこにもないと思ったでしょう ひとりでは見つからないものだったんでしょう
もう泣かなくたって この部屋は綺麗になるよ
今考えるととても素敵な時間だったよね



長い時間を過ごしたけれど 探し物は見つかったんだ
ふたりの間にあふれた涙 君と僕とで優しさと名づけた

さあ 僕は食べ物を買ってくるよ だから少し待っててね
夜も明るく過ごせるように 電球も買ってこないとね



少し遅くなったかな「ただいま」 夕方すぎの午後6時
また暗い部屋になっちゃったね 君はどこにいるの?

暗闇で見えないのだと たったひとつ 電球をつけると置手紙 
「ありがとう さようなら ごめんね」 たった三言の置手紙

大丈夫 僕は平気だよ
この部屋にないものを探すんでしょう 行きたい場所があるんでしょう
君が呼ばれた場所をひとめぐりしてまた逢えたなら
今考えるともう一度君に逢いたいだけなんだ



綺麗になった部屋にたった一人座る僕 とりあえず強がってみせてた
部屋の隅に山積みになったアルバム ふたりの思い出はいっぱいになってた

それを壊さないように一冊一冊除けていく 一番下にあったのは 黒ずんだ汚れ
家の中にあるあらゆる洗剤を引っ張り出して 精一杯ごしごしと洗う



僕がこの部屋に来てからのことを 振り返ってみても
素敵な思い出の中で いつから付いていたものなのかわからずに

いつまで擦っても落ちないから 少しずつ「諦めろ」と囁く
それでもこの黒ずみと過ごすと 叫びたくなる 「助けて」と

もういいかい 僕は僕に話すんだ
誰にも届かないと知っているんでしょう 誰も来ないと泣いているんでしょう
君と出逢えた場所だから 出るに出れなくて
今考えると君が何を思ってこの部屋にいたのかがよくわかる

まだだよ 僕は僕に話すんだ
君でも君じゃないとしても もしもこの場所でまた出逢えたなら
もう一度部屋を綺麗に片付けて 今度は一緒に離れよう
君の残した三言の置手紙と共に 僕は二度のノックを待つ



この部屋に最後に見つけた 僕はそれを希望と名づけた

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公開日 2008/06/16
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コメント 恋愛というよりも、より愛情のほうに近いものをイメージして物語調で書きました。自分の身になると本当の大切さやその人が求めていたものを感じられるという思いやりについて触れてみました。この詩の前後を想像していただけたらと思います。
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