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もう、戻れないと願っている
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作詞 沫生 |
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あれは嘘だったのか
でもこの疑問はおかしい
ほんとは知ってるんだ
今さら 騙しもないだろうに
知ってるんだ
全部本当だった
嘘じゃないってことも
終わりだって言った あの言葉も
虹色のビー玉が割れた
あちこちに破片が飛び散って 僕は困った
別段酷く落とした訳でも無いのに
大袈裟な彼は粉々になった
訳が分からずに腹が立つ
思わず馬鹿野郎なんて言ってしまった
片付けようと破片を拾うと 手が真赤になった
見えずに破片を踏んだ足も 同じになった
僕は何でか動けなくなった
動きたくなかった
「終わりだ」と 声が聞こえたあの日
彼が言ったのか それとも僕なのか
今はもうどちらでもいい
ただ滴る血が痛かった
それは僕のでもあり 彼のでもあった
溢れ過ぎて消えた冗談 悪巧み 交えた拳
それは疑いたくなる程に嘘みたいで 疑いようのない真実だ
一際強い突風が吹く
分かるよ これはもう手遅れだ
それともそんな事は 僕より先に知ってたのか
僕は両足に全ての力を込める
全身全霊の拳を受け止める為に
あいつの目を見て 踏ん張った
雁字搦めになった 銃弾のような叫び
耳に残って仕方がない
ああ、僕らは
僕らはお互いの裏側を知っていた 十分過ぎるくらいに
だから 繋いだ心を解いて、願っている
もう戻れないことを
記憶の輝きは今更掴めない
気づけば随分遠くまで来ていた
いつの間にか、もう届かない所まで
僕は泣いただろうか
過ぎたことを後悔する暇も無く
埋もれそうな真実と、埋まらない嘘の中
眩しい記憶と 殺伐とした現在を 頭で認識する
僕はこの瞬間も ただ歩くことしか、出来ない
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